コロコロと興味の対象が移り行く音方による、日々の熱い物を綴ってみた日記。   ※アダルト・商業系サイトやここの記事とあまりにもかけ離れたTBやコメントは削除させて頂いています。悪しからずご了承下さい。


by otokata
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レ・ミゼラブル(1998年)


『レ・ミゼラブル』
製作・・・1998年/アメリカ
監督・・・ビレ・アウグスト
キャスト・・・ジャン・ヴァルジャン/リーアム・ニーソン(菅生隆之)
        ジャヴェール/ジェフリー・ラッシュ(金尾哲夫)
        ファンティーヌ/ユマ・サーマン(日野由利加)
        コゼット/クレア・ディーンズ(小林さやか)
        マリウス/ハンス・マセソン(石川禅)

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 突発的・いつまで続くか謎なユゴーシリーズ(笑)。
第2弾は、多分賛否両論が一番激しい98年版レミゼです。

※最初の方から結構ネタバレしています。ご注意下さい。

 実は私はこの映画がレミゼの一番最初でした。
『ノートルダムの鐘』にハマって色々なレビューを読み漁っていた時、ある人の観劇記に、「(海外に)ノートルダムの鐘のミュージカルを見に行ったけど、このフロローには色気がない。狂った様子がない。これは同じパリで同じユゴーでも、ジャヴェールだと思う。」と、いうような記事がありました。その時初めて、レミゼとジャヴェールへの興味が湧きました。
 ミュージカルがあるのも知っていたけど、とりあえずすぐに何か観たかったので、TUTAYAへ行ってこの映画を借りてきました。今観ると、「これはどうよ・・・」と、思う箇所も多い作品ですが、当時はもうジャヴェールとジェフリー・ラッシュにハマリにハマって、ヤバかったのを覚えています。

 まず、この作品に原作への忠実さを求めてはいけません(笑)。
エポニーヌは出てこない。マリウスがアンジョルラスを兼ねている。
(アンジョルラスの名前はあるのですが・・・、もしかしてあの学生の中で一番セリフが多い色黒の方でしょうか?)
極めつけは、ラストシーン。
ジャヴェールがヴァルジャンの目の前で自殺して、晴れ晴れとした顔で微笑みながらヴァルジャンが去っていく。

 本当に摩訶不思議な作品です。こんなのヴァルジャンじゃない・・・。
目の前でジャヴェールが自分を自由にするためにセーヌ川に身を投げたのに(これも今考えると何か違うけど)、自由になった喜びの方が強くて本当に嬉しそうなんです。これは予備知識皆無で観たときから腑に落ちませんでしたが、今では更に理解できません。
”目の前で人が死ぬ”それだけでもヴァルジャンなら、こんな風に笑ったりできないはず。
観た直後、呆然となってしまうラストシーンです。

吹き替え版だとこうなっています。

「あの石切り場に戻りたいか。」
(ヴァルジャン、黙って首を横に振る)
「初めて考えが一致したな。お前を監獄の暮らしから解放したい。
だが、法は私に慈悲を許さない。法を守ること、それが私の人生だった。お前は自由だ。」

そしてヴァルジャンの手錠を外してそれを自分の手にかけ、セーヌに身を投げるのです。

このジャヴェールだった場合、手錠はヴァルジャンを逃がした自分を処罰するため、というよりもヴァルジャンの代わりになるためのものであるように思えます。
思わず逃がしてしまったミュージカルや原作・他の映画のジャヴェールと違い、本人がはっきりと「石切り場に戻したくない。」と、断言している辺りが特に。

「法は私に慈悲を許さない」
だから、私がお前の代わりに罰を受けよう。
なのかもしれない。
もしくは、それでもお前を自由にしたいから、私を罰そう。
なのかもしれない。

っつーか、どちらにせよ、それであの晴れ晴れヴァルジャンじゃ、あまりにジャヴェールが気の毒すぎる。

 それからマリウス。学生のリーダーとして革命を起こそうとしているのに、その直前にコゼットに出会ってしまってから、夜中に密会が続きます。仲間が会議に勤しんでいるのに。
マリウスの性格そのままでアンジョルラスを務める。・・・いや、無理がありますって。
一つ嬉しいことがあるとしたら、吹き替えが石川禅さんってことかと。

 クレア・ディーンズは綺麗です。
このコゼットは、待ち伏せしていたジャヴェールに捕まっても(「ヴァルジャンはどこだ?」って)、勇ましく気丈に振舞うことのできる女性です。”単なるお嬢様”って感じではないです。

・・・っていうか、このシーン自体が不思議かぁ。
「母親は娼婦だったと知っているか?お前は父無し子だと知っているか?」
何か、ガックリきてしまうものがあります・・・。コゼットにあたってどうするよ・・・。
挙句マリウスに捕まってバリケードに捕らえられてしまうなんて・・・。どうしたものか。
 
 ファンティーヌのユマ・サーマン。迫真の演技です。
栄養失調には見えないけど。
「ガイコツを抱いて50スー?」あの胸でガイコツはないでしょう・・・(汗)。
最初は綺麗だったのに、病状が進行していく様は、本当に死んでしまいそう。
ヴァルジャンと過ごした日々が、双方にとってつかの間の安らぎって感じでした。
ジャヴェールとヴァルジャンが激しく言い争っている間に死んでしまうのですが、その形相はすごいです。半開きの口、この世にとどまっているとは本当に思えない目。人形のように完全に力の抜け切った体・・・。
本当に、凄かったです。

 他にもたくさん不思議な箇所もありますが、2時間以内に収めようとして原作どおりは土台無理なので、この辺にしときます。
ファンティーヌを「愛していた」と断言したヴァルジャンとか、「少々マヌケだが、信仰心が厚く、娘を愛している。」父親(ヴァルジャン)にコゼットとマリウスが逢引してる旨を残していくお節介なジャヴェールとか、マリウスとの密会を知ってコゼットに手をあげたヴァルジャンとか・・・。
 あ、原作どおりガブローシュには2人の子どもがいます(笑)。

 あと、ちょっと目に付いたところを幾つか。

・マリウスのラブレター、3枚両面びっしり文字が埋め尽くされていて、凄すぎます。

・コゼットがパリの街を歩いている時、道脇にあったギロチン台。さり気に目に付きます。
いかにもセット臭いけど、これがあるだけで何だか生々しい。

・ファンティーヌの死後、ジャヴェールを額から血が出るまで壁に叩きつけるヴァルジャン。あんまりです・・・。

・それでいてジャヴェールの部下が、「署長は死んだのですか?」と、尋ねてヴァルジャンが首を横に振ると、「それは残念」というところ。本当にあんまりです・・・・。

・けど、そのジャヴェールもファンティーヌのいきさつを全て見届けた上でファンティーヌに手をあげる辺り、彼の理念を念頭において見ても、確かにちょっと行き過ぎです。


 さて、こんなとんでも映画なのに、どうして私がこの映画を好きなのかって言ったら、ジェフリー・ラッシュのジャヴェールが好きだから、ってことになります。

 仕事への実直さが行き過ぎてか、かなりとっつきにくい印象が付きまとうジャヴェールです。
赴任してきた直後も、無駄口は一切叩かず、彼を出迎えた補佐のボーヴェという警官に「法の定めたとおりに」辞令を確認するように促した登場シーンからそうでしたが、馬車の一件以来明らかにヴァルジャンにカマをかけていて、住民調査をする際に
 「改心など幻想です。近代科学は犯罪の性向は生まれつきといっています。羊の皮を被っていても、狼は狼。」
と、語ります。
 これはジェフリー・ラッシュが
 「彼はその生まれのせいで、一線を越えて犯罪者になることに恐怖感を抱いて生きている。超えてしまえば、引き返す道はないと彼は思っているんだ。」
と、語っているのと一致します。
原作にもあったかなぁ?ミュージカルでは「お前みたいな奴、そうさ、死ぬまで変わるものか。」でしょうね。

 こうしてパリ市警に行って市長の告訴を願い出るジャヴェール。
「住民調査で上にも名前を覚えられて、出世も期待できる。だから、証拠もないのに早まるな。」と、上官に言われます。「裁判に持ち込めば、証拠は確実にあがります。」と、ジャヴェール。自分の記憶に絶対の信頼を置いているよう。
 加えて、自分には不当と思えるヴァルジャンのファンティーヌ釈放と、自分への仕打ち(明朝まで職務を解く)。段々表情に不審が浮かびます。
 だから、人違いだと分かった時のしおらしい
 「これで罰を受けねば、人生の意味を失います。」が、効くんだと思います。

 「I knew it, I knew it. I knew it!!(そうか、」の辺りからの対決はもう・・・!!
すごいです。執念の鬼。迫力と冷酷な笑い。
飛ばしすぎて馬車転覆させて、出し抜かれて関係ない人を逮捕しかけた辺りからドジの片鱗も見せ始めています(笑)。
 数年後、彼は学生達を見張る仕事についています。彼の傍にいる密偵がちょっと羨ましい・・・、いえ、何でもありません!
 マリウスつながりでヴァルジャンに行き着くのですが、踏み込んだ時にはもぬけの殻。
「逃げ足が速い!」という警官に、
「ああ、そういう奴だ。だが、必ず捕まえる。」
と、言う彼は、それこそ獲物を見つけた狼の喜びみたいな眼をしています。

 でも、これ書いたら反感買うかもしれないけど、このジャヴェールってヴァルジャン好きだよなぁ・・・、って思います。いや、何でって聞かれても困るけど。何となくそう思うだけだけど。ミュージカル見ててもそう思うときが多いけど。
 ヴァルジャンのためにバリケードに入り、ヴァルジャンのためにコゼットを問い詰め、ヴァルジャン捕獲失敗してバリケードに捕まる。

うーん、おバカだ。でも、そういう一途に追っかけてしまうジャヴェールも好きだ。
 
 バリケードでヴァルジャンと再会したジャヴェールの眼には、何だか懐かしさみたいなものが表れているような気がします。
「思ったとおり、お前だった。」
そう言ってヴァルジャンが去っていっても彼から眼を離さない彼は、獲物に再会した狼の眼っていうよりも、もっと複雑な心境でいるように思えます。
(立場が逆転してるからってのもあるでしょうけど)

 ヴァルジャンがジャヴェールを逃がすシーン、死を覚悟した「Kill Me.」の、何ともいえない表情がまた何とも言えません。静かに淡々と諭すジャヴェールは、静かな動揺を秘めていて、だけど、もしかしたらさほど驚いていないようにも見えて、掴みきれません。

 厳格な法の番人、自分の執務に忠実な彼を演じているのが、ジェフリー・ラッシュでよかったと本当に思っています。「彼を悪人ではなく、法を破った人間を罰するのが正しいことだと心から信じている人間として演じて欲しい。」という、アウグストの言葉を体現しているだけでなく、もっと深みを加えて演じているように感じられて、私は以来ジャヴェールとラッシュのファンになりました。

 作品自体も、何だかんだ言いつつ、一番最初がこれだったので、違和感はありまくるけどこれはこれで一つの作品として開き直って観ることができるのも幸いかと。
 映像は全体的に綺麗だし(レ・ミゼラブルが綺麗って言うのも変かもしれないですけど)。

 ・・・はぅ・・・、この内容薄い記事書くのに、体力と気力を使い果たしました。
明日レッスンだし、練習しなくちゃ。
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by otokata | 2006-01-09 17:14 | レ・ミゼラブル 映画版