コロコロと興味の対象が移り行く音方による、日々の熱い物を綴ってみた日記。   ※アダルト・商業系サイトやここの記事とあまりにもかけ離れたTBやコメントは削除させて頂いています。悪しからずご了承下さい。


by otokata
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九十三年


 今日は派遣の登録会に行ってきました。パソコンの打ち込みチェックをやったのですが、テンキーでの数字入力ランク:Cにはちょっと凹みました。普段テンキー使ってないから仕方ないのかな・・・。文字入力はちゃんとAを出したんですけど・・・、精進します。

 さて、この間からコツコツ読んでいた『九十三年』、ようやく読み終わりました!!

 『九十三年』
ヴィクトル・ユゴー文学館 第六巻 辻 昶 ・訳 潮出版社


 まず思ったことですが、私は前回一体何を読んでいたんだ!?

  読み終わった後、ボロボロに泣いていましたよ。こんな話だったか、九十三年!?
何で私がラドゥーブを忘れてるんだ!?こんな魅力の塊なのに!!(そこですか)
軍曹、大好きだ~!!!!!!(落ち着け、私。)
 それに、『脱線したジャヴェール』のような箇所があったぞ、ラスト近く!!思わず付箋をベタベタ貼ってしまったではないか!!(だから落ち着け!!)

 ゼェ、ハァ・・・。し、失礼しました。真面目にやります。






 『九十三年』は、ヴァンデの反乱をテーマに書かれた話です。ヴァンデ軍の老指揮官・冷酷な王党派・ラントナック侯爵と、彼の甥の息子で寛大な共和主義のゴーヴァン&ゴーヴァンの師で峻厳なシムールダン率いる共和軍の戦いを中心に物語が展開していきます。
 
 物語はラ・ソードレの森で、共和軍である”赤帽大隊”が3人の子どもを連れてボロボロになりながら戦乱から逃げているミシェル・フレシャールという女性に出会い、行動を共にするところから始まります。
 ”赤帽大隊”の軍曹が例のラドゥーブなのですが、彼はものすごく勇敢で誠実でちゃきちゃきの江戸っ子、もとい、パリっ子(だと思う)で、出てくるたびに格好いい活躍をしてくれます。前読んだ時はそれほど好きでもなかったけど、思想小説みたいな『九十三年』において、ここまでスカッと潔く人情味のある、気のいい兄貴な軍曹が出てくると安心します。
 フレシャールと子ども達は、これから後反乱に巻き込まれ、重要な鍵を握ります。彼女はまるでファンティーヌのような存在かも。悲惨な目にあいながらも、子どもへの愛情で、自らの身も省みず進み続ける母親。文字通り母性の象徴のような存在。レ・ミゼラブル色強いなぁ。

 前回別の版で読んだ時は、第2部の『パリ』の部分がなかったような気がする・・・。
ロベスピエール、ダントン、マラの3人の会議や、国民公会の様子が詳細に書かれています。フランス革命好きにはたまらないでしょう。ただ、ちょっと本筋を逸れているので読みにくいかも・・・。今回ここで一番時間がかかったし。ユゴー特有の脱線は、この作品でも健在です(笑)。でも、脱線とはいえ、彼の思想が溢れ出ているので、一度圧倒されてしまうと読み続けてしまいます。今なら『ノートルダム・ド・パリ』の3編(建築について語ってるところ)も飛ばさず読めるかもしれない?
 
 
 この作品のツボは、ずばりゴーヴァンとシムールダンの師弟愛でしょう。
(あくまで個人的ツボです。)
 元司祭で、共和国のためなら血も涙も無いシムールダン。彼が全ての愛情を注ぎ込んだのが、子どもだったゴーヴァンなのです。貴族だったゴーヴァンの家庭教師として文字を教え、自分の知識も思想も全てを与えた、息子よりも大切な存在。彼が成長し、引き離されてからずっとどこでどうしているか分からなかったのですが、公安委員会によってそのゴーヴァンのお目付け役として派遣されるのです。貴族と司祭、互いに監視させようとロベスピエールたちは考えたのですが、この2人がもうラブラ・・・、失礼、

「これほど気高く、深い愛情によって結びついている人間はどこにも見いだされなかったであろう」
というほどの親密さ。だけど、

「一方は恐怖の共和派、もう一方は寛大な共和派で、前者は厳正過酷をモットーにして敵を征服しようとし、後者は温情によって服従させようと志していた」

と、目に見えないけど深刻な考え方の相違があったのです。

 ゴーヴァンの寛大さをシムールダンはいつも心配しています。実際に仇になってしまうのですが、それでも良心に従って行動し、「精神による共和国」を夢見続けるゴーヴァンを見つめるシムールダンの表情は、いつも優しいのです。自分の考える「法や秩序による共和国」よりも遥かに理想主義的で、実現不可能のように思える思想。この2人の語り合いは必読!!ゴーヴァンを透かしてユゴーの姿が見えるようです。

 また、ラントナックとゴーヴァンの一族対決も忘れてはいけません。ラントナックはかなりえげつない性格の持ち主ですが、筋が通った人物なので、彼についてくる人間が多いのも頷けます。王党派と共和派、この差がなければ、二人は争わず、共に尊敬しあえる存在だったのでしょう。

 うーん、何だか私が語るとキャラクター語りになってしまうなぁ。
フランス革命好きな方、レ・ミゼラブルを読んだ方、戦場にまで化粧箱を持っていく美しい隊長を見たい方、ユゴー作品を制覇したい方、歴史小説がお好きな方!とってもおすすめです。是非読みましょう(笑)。
特にレミゼ好きな方、結構レミゼを思い出すような箇所があるので、嬉しくなれるかもしれません。
 
 では最後に、私の好きなゴーヴァンの言葉を一つ引用して残しておきます。

 「私は精神には自由を、心には平等を、魂には友愛を望みます。いやです!くびきはもうたくさんです!人間は鎖をひきずって歩くためにではなく、翼を広げて天翔けるようにつくられているのです。」

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by otokata | 2006-02-11 23:52 | 読書