ジキル&ハイド その2 1幕前半 まさかこんなに長くなるとは・・・。
2007年 05月 15日
17日夜行バスに乗るまでに、ジキハイの感想だの覚書だのを全部書ききっちゃおうと思い、パソに向かっています。
ニュースで流れてますが、会津若松の方で悲惨な事件が起こり、あまりの衝撃度に少し落ち込み気味です。その内容に関してはもちろんですが、それ以外でも
会津若松=斎藤一、「ならぬものはならぬのです」、容保様
なんていうコンボで連想するから、尚更です。(それ以外にも色々。でも、今はまだ何も考えたくない。)
新聞で、「元気でいい子だった。事件を起こすなんて信じられない」
というような近所の人の証言を読むと、ジキル&ハイドの舞台を思い出します。
でも、この感想はそんな深刻なところまではいきません。
しかも何か感想というより、あらすじ解説みたいになってきた節あり_| ̄|○
その上、やたらと長い!!
と、まあ、いいところなしですが、頑張って書き散らしてみます(オイオイ)!!
<第1場 病棟>
雷鳴の轟く中、幕が上がる。
格子の中には、精神のコントロールを失い、息子すら分からなくなってしまった一人の患者。彼を救うために、「精神の善悪を分離する薬」を開発していると話すヘンリー・ジキル。患者は、彼の父だった。たとえ周囲に非難されようとも、父の手を握り、誓う。
「約束します、見捨てません。この命尽きる日まで。」
…と、いうような、最初から心臓鷲掴みになる始まりでした。
ここでヘンリーが歌う「闇の中で」が、本当に優しくて、とっても切なくなってしまいます。鳴り響く雷鳴と、ヘンリーの理解されない孤独な闘い。この2つがこれから起きる悲劇を象徴するようで、強く印象付けられます。
原作のジキルはあくまで自分の抑えがたい欲望を満たすために善悪を分離させたのに対し、舞台版は全て父上のためなんですよね。純粋なんですね、ヘンリーは。
強く父の手を握るのに、彼はすっと彼から顔を背けてしまう。ジキルが心から慕っているのに、優しく呼びかけているのに、父上には届かないんです。
「もう、休みましょう、父上」
それでも彼は、優しく大切に父の肩を抱いて連れて行ってあげるのです。
ちなみに、この物語の語り部は、ジョン・ガブリエル・アターソン。どうやら、彼が親友であるヘンリーのことを回想しているという構成のようです。
<第2場 ロンドンの通り>
「人前ではお付き合いの仮面被る それが建前 本音は全て嘘さ♪」
アンサンブルのナンバー「嘘の仮面」。この曲、かなり好きです。
そんなに嘘ついて生きてるつもりは無いけど、多かれ少なかれ、誰だってそうですよね。全て、100%表の人なんていない。だから、この露骨な歌詞に共感とまではいかなくても、迫ってくるような圧倒的なものを感じる事が出来る。そういうことだと思うんです。
それにしても、すごい迫力でしたよ、このシーン。お辞儀なんかをしながらも、上っ面な感じと、訴えるというよりも吐き捨てるような歌い方。得体の知れない怪しい感じがして、とっても良かったです。
ちなみに、先日雰囲気で「ベガーズ」(レミゼ)を思い出したと書きましたが、CD聴いてて、MAの「もしも」の方は歌詞が近い事に気づきました(遅っ)。
「隠せ、仮面の下 演技を続けろ。隠せ、仮面の下 全て見せるのは愚か者だけ」
…あ、でも、雰囲気は似てるけど、意味が変わってきてしまったから、もうやめときます。(意図的に隠しちゃった。)
<第3場 セント・ジュード病院>
病院の理事会の面々に、薬の人体実験の許可を求めるヘンリー。しかし、理事会のメンバーには散々非難され、罵声を浴びせられる。婚約者エマの父、ダンヴァース卿は、ヘンリーを応援していると言いつつも、彼を助ける事まではできず、棄権する。申請は却下され、憤る彼を親友のジョンが励まし、慰める。
大司教、将軍、伯爵、公爵夫人…
理事会のメンバーは皆権力者。ヘンリーは、最初は紳士的に振舞おうとしているのですが、相手は高慢かつ無礼で、人の話をろくに聞こうともしないので、遂にブチッときてしまったらしく、皮肉を言ってしまい、更に理事会の心証を悪くしてしまいます。
この時のヘンリーの表情が、作り笑顔で頑張ってるのが(笑)、だんだんイライラを全面的に出すようになってきて、それと同時にこちらも「理事会ウザイ!!」という気持ちになってきます。もう、思いっきりヘンリーの味方。仕方ありません、ステキすぎるんですから(えっ)。
でも、観てる方はヘンリーに感情移入してるので理事会のメンバーが憎らしげに見えるのですが、「“精神の善悪を分離する薬”を作ったので人体実験したい」なんて言われたら、「思い上がり」とか、「神への冒涜」と思う気持ちも分からないではないですよね。
科学と医学の進歩のためと信じて作った薬。それが本当に希望をもたらすものなのか、彼らの言うように災厄をもたらすのかは、これから彼の物語が示してくれますが、その結末を思うと、なんともいえない気持ちになってしまいますね。
話がフライングしましたが、ここから思いっきり脱線します。
ジョンが素敵すぎるんですけど、どうしたらいいですか!?
理事会で凹まされたヘンリーの背中をポンと叩いて、明るい口調で励ましてくれるんですよ。さり気に言ってる事も一番もっともだし。
「正しいなら進むしかない。だが、彼らは権力者だ。」と。
彼はヘンリーの研究を否定したりしない。だけど、少しは彼らと上手くやっていく術を考えたらどうだ、みたいな。押し付けがましくなく、ヘンリーに足りないものをさり気なく諭してくれる、一緒にいてくれるとホッとするだろう人。いいなぁ、理想の友人だ。
サイモン(宮川浩)は根っからの嫌なやつ。本当にムカつくの。一応議事はちゃんと進めてるんだけど、嫌味ったらしいったらありゃしない!!本当にジョンと同じマリウス経験者なの?ってくらい(全然関係ない)。
・・・でも、この人が初演マリウスだなんて、想像できない。そういえば、青ラベルのマリウスはこの人だっけ?赤ラベルの石井さんの印象しかないや(鹿賀バル&村井ジャベが好きで、そっちしか聴かないから)。今度もう一回じっくり聴いてみようっと。
どうでもいいけど、サイモンが座っていた議長席(?)、方眼用紙みたいな感じで作られていたのが気になりました。何のイメージ?
<第4場 リージェント・パークのダンヴァース・カルー卿邸>
ヘンリーとエマ・カルーの婚約パーティー。集まっているのは、上っ面だけで祝いに来ているような客たち。特に理事会の面々は、先ほどの理事会のこともあり、エマの前でヘンリーの事をこけおろすが、エマは「私も驚きましたわ。人の婚約パーティーで、その相手の悪口を言う方がいらっしゃるなんて。」と、さらりと応酬する。サイモンはエマの事が諦められないらしく、「本当にいいのか」と詰め寄る。
ヘンリーが遅れて来ると、すぐに花火が始まり、来客は皆外に出て行く。二人だけになったヘンリーとエマは「ありのまま受け入れて」と、お互いの愛と絆を確かめ合う。
で、キスシーンの最中にうっかり入ってきちゃったジョンが、「もうすぐ花火が終わるぞ」なんて、気まずそうに言うのがものすごく可愛いんですよ!!後ろにいるダンヴァース卿は、こめかみの辺りがピキピキいってそうな気がしたし。ああもう、可愛いなぁ、この人たち!!
でも、一番可愛いのは「本当はとても怖い」なんて、不安を告白してしまうヘンリーだと思います(力説)!!
自分を心から信じてくれる彼女と二人きりになって、ずっと「考えは間違いではない」とか、「あきらめるなんてできない、馬鹿な!」とか言っていた彼が、初めてぽろっと不安を口にするのって、結構重大事だと思います。あまりの可愛さに、エマになって力の限り守ってあげたくなります。ああもう、やられました・・・。
で、先日も書きましたが、エマが想像以上にずっと素敵だったので、ジキルが「ありのままの」で心から信頼する気持ちが素直に伝わりました。登場した時から、「あ、綺麗・・・。」と、思いましたが、「私も驚きましたわ。」での強さ。傲慢とかじゃなくて、「人が何と言おうと関係ない」という芯の強さが滲み出たエマ像で、イチコロでした、私が(私がかよ)。で、「ありのままの」の辺りで、完全に不安払拭です。素敵だ、エマ@鈴木蘭々。
ヘンリーとは、本当に素敵なカップルですよね。ジョンとの関係が理想の親友像なら、こちらは理想の恋人像。見ていてうっとりするくらい清々しいです
で、この後ダンヴァース卿パパとエマの、お別れのデュエットがあるのですが、今まで腹の底の見えないパパが、娘を手放す寂しさとヘンリーへの不満を素直に打ち明けてくれるものですから、なんかウルッときてしまいました。
本当は優しいパパなんですよ。娘が心配なの。理事会の他のメンバーと決定的に違うのは、こういうところなんでしょうね。他の人達は、仮面を剥ぐと欲の塊だったから(汗)。
<第5場 ロンドンの通り~パブ「どん底」>
パーティーから逃れたヘンリーは、上手くジョンにいいくるめられてパブ「どん底」に連れてこられた。理事会の事を思い、深く悩んでいたヘンリーだったが、そこで出会った娼婦ルーシーのふとした一言、「試してみたら?自分で」にヒントを得て、研究の解決策を見出す。
あのさ、ヘンリーさん。「僕は行かない」って渋ってたのを
「実験に協力してくれるって人が見つかるかもしれないぞ、ボランティアで」
「ボランティア!?」
でつられて入っていくのって、どうなの?そこボランティア探すようなお店じゃなくない(笑)?
…あれですね、ジョンはヘンリーの取扱説明書を持ってますね(汗)。流石は、「数少ない貴重な友達の貴重な意見」ですね(それを自分で言うところがまた可愛いですよね、ジョンって)!!
それはそうと・・・
ルーシー登場!!!
いや~!!ルーシー綺麗!!!色っぽい!!!こんな人だったなんて!!新たな香寿たつきを見ました☆
ショーの「連れてきて」は、本当にすごいですよ!!中央の階段でルーシーが蠱惑的に歌い踊り、盛り上がってくると娼婦のお姉様たちがたくさん、客のところで色っぽく踊るんですよ。ルーシーなんて、ジョンのお膝に乗ったり、テーブルにねっころがって足上げたりしてましたもの!(思ってませんよ、マブいオルレアン公もやってくれないかな~、なんて・笑)
残念ながら、私の席は前の人の頭でヘンリー&ジョン席がほとんど見えなかったので、ヘンリーがどんな顔して見てたのかが分からなかったのですが(涙)。
曲も、色っぽくてノリが良くて、すっごく盛り上がるので楽しい!あれかな、「マダム・ヴォルフのコレクション」(エリザベート)華やか版みたいな感じでしょうか??
そうそう、色っぽく歌ってるからか、マルシアさんの影響なのか、ちょっと歌い方が外国人っぽかった気がします。
ヘンリーが寄って来たからお断りしたら、ただ単にハンカチを拾ってくれただけ。
それで興味を持って恋に落ちるなんて、学園ラブコメかと思いました(笑)。
パブに来てるのに全然自分に触れようともせず、紳士的に接してくれて、「私でお役に立てるなら、いつでも訪ねて来なさい」って言ってくれて・・・。
目を輝かせて名刺を握り締めるルーシーが、ひたすら可愛かったです。ルーシーをいびる経営者のスパイダーに、一瞬殺意を覚えました。
「笑えよ、仕事しろ。休むというなら追い出すぞ♪」なんて、全然関係ない他作を、後になって思い出しました。スパは、もっと乱暴で、粗野な男です。
でも、何だかんだ言って、ここでも「試してみたら?自分で。」で、打開策を見つけた時の、超ハイテンションで嬉しそうなヘンリーが可愛かったです!!
さっきから、ヘンリーに対して「可愛い」っていう形容詞しか使ってない気がしますが、これからそれがどんどんと変わりだすんですよね。でも、長くなるので一旦終わります。
どうでもいいけど、ちょっと思った事。
「連れてきて」の冒頭で
ルーシー「男はいらない」
客 「なんだとー!」(立ち上がってめっちゃ怒ってる)
ルーシー「ほんとは欲しいの」
客 「(「やっぱりな」みたいな、下卑た笑い)」
・・・単純な男だなぁ↑
by otokata
| 2007-05-15 23:38
| 舞台・役者さん